「目、小さかったんだね」
[20代:保育士]
クラスの男子に言われました。私のことを好きっぽかったんですけどね。コンタクトにした時から反応が悪くなったような気がします。そう言われてからは、私自身も目の小ささを気にするようになって、アイプチに手を出しました(笑)
こういうさりげないことで傷ついて、女の子は化けていくんでしょうね。そこからは大した時間もかからずに、アイラインや付け睫毛といったものが追加されていきました。
その後、化粧もバリバリに盛るようになったので、、就職した頃にはもう肌はボロボロでしたよ。素顔で生活したくてメガネを取ったのに、結果的には逆効果になってしまいました(笑)。
「メガネ似合ってたのに……」
[30代:会社員]
高校2年生ぐらいだったかな。メガネからコンタクトにするのは相当遅い方だったと思います。性格も今でいう地味っ子でしたね。それだけにメガネを外して登校したときは、かなり注目されました。
ただ、口を揃えて皆同じことを言うんです。「メガネ似合ってたのに……」って。女子高だったので、ズバズバ言われるのは慣れていたんですが、あそこまで真剣に言われるとは。「絶対戻した方がいい」とまで言われましたから。
意地でも戻しませんでしたが、「もうメガネはかけないの?」と言われなくなるまでは、少し時間がかかりましたね。
思春期の出会いと別れ
「ふーん、コンタクトにしたんだね」
[40代:会社員]
私の時代は、コンタクトに変えるって結構大事件だったんです。しかも、小学生の時に変えましたから、当時としてもかなり早い方だったと思います。値段も高価で、誕生日の分とお年玉を前借りした分を足して、親に買って貰いました。
気合い入ってたんですけどね(笑)反応はイマイチでした。「ふーんっコンタクトにしたんだ」って冷たい感じです。当日ぐらいは自分の話題で持ち切りになると思ったんですが、全然です。メガネを取ったところで、自分の顔が変わるわけじゃないことを、しっかりわきまえておくべきでしたね。
だけど、それでもショックはありましたよ……別の女の子が、その何日か後にコンタクトにした時は、皆注目してたんですよね。やっぱり、顔って大事みたいです(笑)。
「メガネ忘れてきたの?」
[20代:ライター]
私は記憶喪失系のドジっ子かよ!ってぐらい聞かれましたね。周りもわざとやってるようにぐらいコンタクトに変えたことを認めない徹底ぶりで。私にとってはかなりのイメチェンのつもりだったのですけどね……
兄が読んでいた『いちご100%』の影響がなかったと言えば、嘘になりますが、それにしたってもう少し救いのある反応を期待していましたよ。
しばらくして、皆の記憶がコンタクトの私に上書きされたようだったので、くやしくて一時的にメガネに戻したこともあったぐらいです。けど、それも「目、悪かったんだね」のそっけない反応のみ。どんだけ存在感ないんだよって感じです。
結果はどうあれ貴重な体験
どうやら、メガネからコンタクトに変えるという行為に少々幻想を抱き過ぎていたようである。今回聞いた相手が偶然そうだった可能性は拭えないものの、周りの人間にとっては、概ね大した出来事ではなかったというエピソードが非常に多かった。
ただ、初めてコンタクトレンズを入れた時のあの痛みと涙の価値が、全くのゼロだったかと言えば、そうではない。こうした貴重な体験があったからこそ、彼女達はそれぞれに人間としての視野を広げることが出来るようになったとも言える。
元メガネっ娘達がコンタクトを保存液に浸している時、当時かけていたメガネもまた、淡い思い出という名の保存液に浸されている。
大切なのは挑戦したという経験があること。
そして、それと同じくらい大事にしなくてはいけないのは、どう考えても『視力』である。