金太郎(きんたろう)
パワー型の投げキャラとして、この世に生を受けた金太郎。ド田舎という表現を使うことが出来ないほどの山奥の中、母の手一つで育てられる。その母から貰った前掛けに『金』の文字がある以外、『金』にまつわるエピソードはあまり出てこないが、『金時山』で授かった云々の弱めの命名説があるようだ。
やがて時と共に成長し、ザンギエフ並みの覚醒を果たす金太郎。山奥過ぎて人間の友達が出来ないので、仕方なく動物達と仲良くなることに。神から与えられた剛力を使って橋を作ってやったり、色々やったが、最終的に動物界最強のパワーキャラ、『鉄拳』でもお馴染みのクマと勝負をするという暴挙に出る。動物達の応援で何とか勝つ。
金太郎は成人後、範馬勇次郎のようにニート道は選ばず、武士の道に進んだ。
浦島太郎(うらしまたろう)
母親想いの漁師の男が、子供にいじめられていたカメに誘われてキャバレーに行く。キャバレーの店名は『竜宮城』。竜はいなかったが、浦島太郎は酒池肉林を楽しんだ。一通り接待が終わると、キャバレーのママは「もう散々タダ酒を楽しんだでしょ?」とばかりに、いらない土産『玉手箱』を当てつけのようにプレゼント。
無事陸地に帰ると浦島太郎は、泥酔から我に返ったような状態に陥る。村の様子もおかしい。オカンもいない。なんかわかるんじゃねえかって、お土産の玉手箱を開けたら、すげえ老けた。
あー向こうの時間感覚とこっちは違うのね。たまたま入ったキャバレーでお会計をした時、老け込みそうなぐらいの金額を請求されちゃった。テヘ。そんなサラリーマンの自虐ネタのようなお話。カメは新手の客引きだった。
【理不尽な結末】
日本の昔話至上、まれにみる理不尽な結末を迎える浦島太郎。彼の落ち度とは一体何だったのか?唯一、救いがあるとすれば、現代でauのCMに出られたぐらいのものだろう。ちなみに、中の人の2016年日本ダービーでの国歌斉唱は、色んな意味で開けてビックリの玉手箱であった。
わらしべ長者(わらしべちょうじゃ)
飛んでいたうるさい虻(あぶ)を、わらしべの先に括り付ける匠の技を持つ男。男は物々交換を続けてたら、知らんうちに金持ちになってた。運ゲーの極み。
かぐや姫(かぐやひめ)
竹を取ることで生計を立てているおじいさんが、めっちゃ光る竹を見つけた。割ってみたらめんこい女の子が出てきた。しゃーねーなと、おじいさんは女の子を家に連れて帰り、おばあさんと共に育てていくことを決意。おじいさんもおばあさんも大名の出ではないが、カワイイのでかぐや姫と名付けた。
大きくなると、その子はすごく綺麗になった。自分が綺麗になったことを自覚したかぐや姫は、おじいさんが連れて来たお見合い相手を、高級ホステス張りの要求で突っぱねる。気持ちは嬉しいけど、あたし月に帰らんといかんねん。結局、彼女は今まであんがとよ的なことを言って、月へと帰っていった。これには、月からの従者を追い払うために集められた侍達も涙目。
一寸法師(いっすんぼうし)
一寸、メートル法で言うところのだいたい3センチぐらいの小さな男が、色々あって、姫様の家来として士官に成功する。頑張って働き続けていると、都合よく見せ場が訪れた。そう、毎度おなじみの赤鬼が来たのだ。
他の姫様の家来は、その暴れん坊ぶりに腰を抜かす。でも一寸法師は、その嫌味なネーミングセンスにすらコンプレックスを抱かない強者だった。
最初は鬼にあっけなく食べられたが、小さいことを武器に鬼の胃袋を内側から刀代わりの針で突いたのである。赤鬼はやられ、お詫びに打ち出の小づちを渡す。一寸法師は普通の大きさになった。そうして、このエピソードは食中毒の注意喚起に打ってつけの物語となったのである。
世にも珍しき正義のウイルスのサクセスストーリーここにあり。
かさ地蔵(かさじぞう)
傘の営業で生計を立てるおじいさん。無能な彼は今日も傘が売れなかった。売り物の傘を頭に乗せながら、雪道を歩く。すると、寒そうにお地蔵さんがたたずんでいるではないか。
お地蔵さんもこれでは寒かろうと、売り物の傘を頭に乗せてあげるおじいさん。そんな話を聞いたおばあさんは、ガン切れするどころか、良いことをしましたねとホクホク顔。だから売れないんだ。お地蔵さんは深夜にお礼に来る。飯とかいっぱい持ってきた。もちろん出所は不明だ。
さるかに合戦(さるかにがっせん)
その昔、柿(カキ)を主食とする中途半端な語呂合わせのようなカニがいた。ただ、何故かその日はおにぎりを持っていて、サルに出会う。サルはおにぎりと自分の持っている柿の種を交換しようと提案。見事契約成立となった。柿の種は「育たないとハサミでちょん切る」という、ブラック企業も真っ青の脅し文句のおかげですくすくと育った。
でも、育ったカニは柿を取れない。なんでって、それはカニだから。そこで、サルに取ってくれと頼んだ。しかしながら、サルは意地悪で自分だけがおいしそうに熟した柿を食べ、熟れてない青い柿をぶつけてカニを殺害した。完全にやりすぎ。
ところが、そのカニには子供がいた。子供は復讐を決意。同じくサルに恨みを持つ仲間まで見つける。メンバーは栗、蜂、牛のふん、臼の四人。(人?)
蜂の二度刺しによる、アナフラキシーショックがメインの復讐劇かと思われたが、カニを含めた五人は無駄に連携を取って頑張る。サルはぺちゃんこになって逝った。
おむすびころりん
転がるおむすび。正直者のおじいさんと意地悪なおじいさん。欲望と意地をかけた戦いは、出来の良いおむすびを賄賂にしてネズミを味方につけた、正直者のおじいさんの勝利となった。
かちかち山(かちかちやま)
いたずら者の狸がおじいさんとおばあさんが住む、つつましき民家を襲った。さらには最終的におばあさんを……これ以上はグロイので割愛。包み隠して言えば、彼が老夫婦にしたのは、イタズラの域を完全に逸脱した犯罪行為の数々であった。窃盗を万引きという緩い表現で呼んでしまう日本文化の問題点が、こんなところにも出ていたのである。
しかし、老夫婦に良くして貰っていたウサギどんが復讐を決意。決起した彼は、かつて先祖が『かけっこ』で負けたカメを見習い、綿密な計画を立てた。ただ、火打ち石を使って、狸がしょっている薪に火を点ける場面ではさすがに焦った。
狸「カチカチ鳴るのはなんで?」
うさぎ「ここがカチカチ山だからだよ」
ちなみに日本が誇る名山、のこぎり山にのこぎりはそんなにない。
なんやかんやあって、たぬきは泥舟と共に沈んだ。復讐は成った。
【ウサギとカメ】
こちらはイソップ童話として有名。油断したウサギがカメにかけっこで負ける。それだけのお話。『オオカミ少年』と並んで、小さな子供向けの説教話としても広く利用されている。
ぶんぶく茶釜(ぶんぶくちゃがま)
どういうわけか、茶釜と一体になって化けてでた狸。見た目が面白いことを理由に見世物として使われ、鉄製であるにも関わらず、金を稼ぐ道具となった。やがて、茶釜の狸は死んだ。そんで、呪われるのが怖いから、供養されることになった。
雪女(ゆきおんな)
若いツバメ(男性)を探すことが趣味の女が、山小屋で暖をとっている親子に巡りあった。オジンはいらんと、お父さんは冷たい口臭を嗅がされ死んだ。女は「あんたは若いから」と息子は助ける。「このことは言うな、言ったら殺す」と念押もした。
時は経ち、生き残った息子は雪のような肌の綺麗な女に出会う。結婚して子供も作った。幸せな時間を満喫する二人。でも、息子は嫁があの時の女に似ていると常々思っていた。っていうか、自分の父親を殺した女の姿を愛せるようなちょっとアレな人だった。ついにはあの時の話を話してしまう。「なんで言うねん」「でも、子供もおるから殺すのは勘弁したる」女は出て行った。
花咲爺さん(はなさかじいさん)
ここ掘れワンワン!ここ掘れワンワン!日本語が得意な世にも珍しい犬が、大判小判をザックザックにしてくれる話。最後は隣の意地悪なおじいさんに殺されてしまったが、燃やされて灰になっても彼は仕事を続けた。
「枯れ木に花を咲かせましょう」そう言って、おじいさんが灰を枯れ木に灰をぶちまけると、お見事!あっぱれ!殿様の前で桜は咲いた。それは犬が残してくれた最後の保険金であった。
こぶとり爺さん(こぶとりじいさん)
整形手術が得意な鬼に気に入られたこぶとりAと、気に入られなかったこぶとりB。ちなみに互いに顔に大きなこぶがあり、体系も小太り気味。
こぶとりBが気に入られなかった理由は、鬼が主催する宴席での踊りが下手だったから。その仕打ちにこぶとりAのこぶを付けられた。やはり、会社の飲み会での一発芸のキレは大切。
鶴の恩返し(つるのおんがえし)
猟師は生きていくために獲物を捕らえなければならない。そんな猟師が仕掛けた罠に引っかかってしまった美しい鶴。それを偶然見かけたお爺さんは鶴を助けた。鶴は嬉しそうに飛び立っていった。
「今日は獲物がなかった……」と落胆する猟師の気持ちは一切気にせず、今日は良いことをしたと満足気なおじいさん。おばあさんとも何かいい感じ。その晩、若い女まで「泊めてください」と尋ねてくる。
人の獲物を逃がすという、見せかけの善行に調子に乗ったおじいさんは、女を泊めることに。そして、仕舞いには居候として養うことも決定した。
女はお礼に機(はた)を織った。「絶対見るなよ」「絶対見るなよ」ダチョウ倶楽部並みの前振りの効果も相まって、その機はたいそう売れた。でも、女はどんどんやせ細っていく。おじいさんとおばあさんは気になりまくった。
もしかしたら、「絶対見るなよ」は、フリだったのかも……
おじいさんとおばあさんは、とうとう機を織っている最中の部屋を覗いてしまう。実は鶴だった女はキレて帰る。機の原材料は鶴の羽だった。こうして物語は終わった。
泣いた赤鬼(ないたあかおに)
色々あったが、結局青鬼はいいやつだった。昔話の世界で泣いているのはいつも赤鬼。
「………………!!」