馬鹿にならない飲み物代とクリーニング代
[33歳男性:証券]
人と比べても汗っかきの方なので、客先でも上着を着たまま汗ダラダラです。サウナかよって思いますよね(笑)。ですので、営業時には脱水症状を起こさないように小まめに水分補給をしています。家から凍らして持ってきたペットボトルなんかすぐに無くなってしまうので、自販機やコンビニなんかで買うことになるのですが、その出費が馬鹿になりません。ジャケットのクリーニング代もそうですね。上着にまで汗が染みこむので塩をふいたようになってしまって……
まぁ、脱水症状を起こしたくなければ、ドリンク代を以上のインセンティブを稼げるぐらいの契約を取って来いということですかね(笑)。やさしそうに見えるお客さんには、話している途中に「上着脱いでもいいですか?」って聞くようにしています。それで怒られたことは一度もありません。
(少しは曇れよ…)
訪問先近くに30分前入り
[29歳男性:専門商社]
初めての訪問先に伺う時は、30分ぐらい前に周辺に到着するようにしています。新規客のいるところにたどり着くまでは上着を脱いで行動しているのですが、到着してか上着をすぐに羽織ると、汗が全然引かないんですよ。ロビーに空調が効いているようなそこそこ大きな会社であれば、そこで何とか汗を引かせます。汗だくのままで商談に入ると先方に心配されるだけですからね。そうしたロビーのない会社の場合は、近くにコンビニを見つけたり、パチンコ店に入ったりして涼みます。
無駄ですよね。上着を脱いでも暑いものは暑いですが、無意味にさらに暑くしてどうするの?って感じです。実際はお客の方は、そんなマナーのこと気にもかけていないと思います。(自分の)会社側が勝手にマナーとして縛っているだけですよ。ウチは体質的に体育会系な部分があるので仕方ないですけど、それだけに「暑くないですか?上着脱いで大丈夫ですよ」と気遣ってくれるお客さんはありがたいです。
帰社時の温度差に自律神経がやられる
[31歳女性:建築資材]
頭に来るのは、バックオフィス(管理部門)は完全にクールビズなんですよ(笑)。空調も女子社員から文句が出るぐらいガンガンで……死ぬほど暑い中外回りして帰ってきたら、今度は極寒の真っただ中みたいなところ。数分は涼しくて嬉しいですが、しばらくすると凍えてきます。それで、また営業に出発する。
だから、結局上着は帰社しても脱ぎません。脱いでも怒られない場所なんですけどね(笑)。暑い、寒いの繰り返しで自律神経がすっかりおかしくなってしまいましたよ。私は女性ということもあって、比較的自由な格好で外回りができますのでワガママはいえませんが、男性の方はもっと大変なんじゃないでしょうか?体温調節めちゃめちゃになりますよ。あれは。
上司との飲みの席でも脱ぐことを許されない
[35歳男性:不動産]
私はすでに中堅社員になっているので、そんなことはないのですが、新人の営業マン達は上司との飲みの席でさえ上着を脱ぐことを許されません。理由は「自分たちも若いころはそうだったから」可哀想なので、何とか上着を脱いでもいい流れを作ってあげようとするのですが、不必要な部分で頑固な人が多くて……
ですから、外回りの時なんてもっての他という風潮です。そんな環境ですから新人も定着しません。夏前に辞める人間も多いです。本当に何のためなんだか……理解に苦しみますね。日本の夏は昔よりもずっと暑くなってるっていうのに。礼儀とかそういう問題じゃないと思うんですよ。自分がお客なら「暑そうだな」って相手に気遣いながら、商談するのは嫌です。絶対集中できませんから。
そろそろ日本特有のビジネスマナーの見直し時では?
やはり、日本のビジネス界において、夏場でも客先では上着を脱がない、脱いでいかないという文化は根強く残っているようだ。
しかしながら、客先がそれを強いているというよりは、営業を行う会社側が旧態然の思想から脱却していないように見える。ただ、今回は紹介することはできなかったが、新規開拓営業を行う会社の一部では、ワイシャツ姿での営業を認める動きもあるようで、取材中、そうした会社の社員達にもお会いすることができたのは救いであった。
今後、もっと多くの会社がワイシャツ姿での営業活動を認めるようになれば、彼らの苦しみも減るだろう。『汗水垂らして働く』という意味は、暑さの中あえて上着を着て回れということではない。このような明らかに日本の気候に合っていないビジネスマナーは、そろそろ社会全体で見直す必要があるではないだろうか?