
相手が好きなら年収なんて関係ない!?
「好きだったから、本当にそれだけなんですよね。お金のことも大事なのかもしれないですけど、お金が一番大事なら、一人で稼いで生きていけばいいだけですし。その時もこれからも、誰にも金銭的な迷惑をかけない自信があります。あとは、ここが最低限の生活レベルで、あとは上がるだけっていう楽観的な思考ですかね」
結婚の決め手は、やはり相手に対する愛情の一言のようである。では、年収が決め手で結婚相手を選ぼうとする女性については、どう思っているのだろう?
「うーん。その人の人生だし、好きにしたらいいんじゃないですかね。お金は多いに越したことはないという気持ちは分かりますし。ネットとかで批判を受けているのとかを見ると、それは違うんじゃないかなって思います。こんなこと言うと、お前も派遣社員で稼ぐ気がないくせにって言われてしまいそうですが(笑)。うーん、反論は、今度正社員の面接受けます、とでも言っておきましょうか(笑)」
A美さんのような考えがある一方で、B子さん(31歳:総合職)のような現実的な意見も。
「私の夫は今24歳で社会人二年目です。年収は300万にちょっと届かないぐらいですか……来月会社を退職するので、もっと少なくなりますね。っていうかゼロになりますね(笑)。私がそこそこ稼いでいるので生活は問題ないですが、そうじゃなかったら(自分の収入が高くなかったら)、結婚はきつかったかもしれません」
B子さんは自分と同等か、それ以上の男性と結婚したいとは思わなかったのだろうか?そうすれば随分良い暮らしが出来たはずだ。
「去年結婚したんですが、私もいい年齢になってましたしね。仕事柄、周りにそういう男性が多いので憧れはありましたが、年収が高い人を待っていたら限界の年齢になりそうで(笑)。それが一番大きかったかな。少し夫にフォローを入れれば、仕事のきつさを理解してくれる人だから、というのも彼を選んだ理由です。正直もっと稼いで欲しいという気持ちはあります。ただ、そこにも一応計算があって、まだ若い分伸びしろがあるんじゃないかって、期待はしてるんです。」
現状よりも将来性に賭けたという話は、なかなかどうして現実的だ。だが、退職をした夫が彼女の収入に甘えて働かなくなった場合は、どう考えているのだろう……と、失礼を承知で少し意地悪な質問をしてみた。
「ヒモ男ですか?彼と私の性格上まずないでしょうが、専業主夫になる覚悟があるなら構わないですよ。私の家事のクオリティに対する要求は半端ないと思いますから、そっちのが地獄でしょうね。たぶん、退職後も絶対すぐに転職しますよ。今回次が決まる前に退職したのも、専門学校に行くためですからね」
『男性の方が収入が高く、女性を養って当たり前』という古い発想を一気に吹き飛ばすかのようなB子さんの意見。確かに彼女のように高収入の女性であれば、相手の年収をさほど気にすることなく結婚相手を選べるだろう。これに関しては性別を逆にすれば、男性にも同じことが言そうだ。
【結婚と恋愛は別?】
結婚相談所に勤務する職員に話を伺ったところ、結婚相手に高収入の男性を希望する女性のほとんどが、「結婚と恋愛は別物」という考えを強く持っているそうである。確かにそれも立派な考え方の一つではあるが、『恋愛もしたい派』の高収入の男性と出会った時は、どのようにその考えを伝えるのであろうか?
ただ、A美さん、B子さんのお話は、現在の日本社会ではかやや特殊な例であるように思える。結婚適齢期とも言える30代前半の男性の平均年収が400万円を切ると言われる社会で、かつ未婚率があがっている現状は、やはり男女間の経済的な問題が関わっていると言わざるを得ない。
「年収が低いから結婚なんて考えられない」と嘆く男性達の気持ちを汲んであげることが出来るのは、彼女達のような女性と出会えた場合ぐらいしかないのではないだろうか?
しかしながら、こんな救いのある意見もある。そこで最後にご紹介したいのは、年収300万円以下の正社員の男性(31歳)との結婚生活が3年目を迎えるCさん(24歳:事務職)のお話だ。
「年収ですか?あんまり気にしなかったですね。結婚前にも聞かなかったような……私達の世代って男性がお金がないこと知ってますから。この間結婚した友達なんて、相手は無職ですよ。流石にありえないでしょって言っちゃいましたけど、友達も笑いながら「そうだよねー」とか言いながら普通に結婚してました。別にイケメンでもなかったけどな、あの人。何がよかったんだろ(笑)」
Cさんは続けて楽しそうに語る。
「無職のヤツはとにかくとして、一緒に働くのが当たり前の世の中だし、会社だってボンボン潰れてるみたいだし。年収が高い人がいい!って言ってるのって、一部の人なんじゃないですか?それか男が気にし過ぎてるだけか?年収だって結婚してから上げればって、思いますけどね。別に。お母さんも言ってたけど、こんなの勢いでしょ。相手が急に重い病気になるかもしれないし、離婚されることもあるし。考えたって仕方ないですよ」
せっかくなので、年収の低い男性が希望の持てそうなお言葉を締めに頂くことにした。
「結婚相手なんて、いないところにはいないし、いるとこにはいますよ。高収入の男目当ての女が集まる場所に行ったって絶対ダメでしょ。お互い選ぶ権利はあるんだから。釣った魚にエサをやれないどころか、そこに魚はいませんよ。勝負になる出会いの場を探しましょう。頑張れば嫌な女の知恵がついてない、純粋な子がきっと見つかりますよ」

低年収でも幸せを掴むチャンスあり!
幸せは年収だけが決めるものではない
釣った魚にのくだりが、非常に印象深いCさんからの最後の激であったが、A美さん、B子さんのお話しを含め、たとえ低年収であっても、勇気と希望が持てる内容だったのではないだろうか?
言うまでもなく結婚生活にはお金が必要で、そこに子育てや介護の問題がからめば、さらに必要となる金額は増える。しかしながら、夫婦双方で協力し合えば「何とか出来る」「乗り越えられる」お互いがそう思い合いながら日々を過ごしているのであれば、結婚生活はおそらく幸せなのだろう。
ただ、もう少し結婚適齢期の男女の平均年収は上がらないものだろうか?年収が少ないことを理由に、結婚という子孫繁栄のきっかけが減ってしまうのは、あまりにも侘しい。日本政府は婚活イベントに資金を投入するよりは、こちらの根本的な問題に対して、より真摯に取り組む必要があるのではないだろうか?