2.パワー・ハラスメント(パワハラ)
社会的なパワーを盾に相手に嫌がらせをすることである。パワーを権力と言い換えると分かりやすいかもしれない。近年では上記のセクハラに迫る勢いで浸透してきた言葉だ。このセクハラとパワハラの後に紹介するハラスメントは、全てこの二つの派生型といっても良いぐらいである。
いや、極端に言ってしまえばセクハラを含めた全てのハラスメントはパワー・ハラスメントであると言っても過言ではない。どのような形であれ、嫌がらせと言う行為には人間関係のパワーバランスが大きく関わっているからだ。
ハラスメント界のルールブック、それがパワー・ハラスメントである。
社会人にとっては非常にポピュラーなハラスメントであるが、そのポピュラーさゆえに被害が表面化しないことがしばしば起こる。特にブラック企業はこのハラスメントと仲良しで、このような会社の業務は、そのだいたいがパワハラの掛け合いで成り立っている。
3.アカデミック・ハラスメント(アカハラ)
学校という閉鎖された空間内で起こるハラスメント、教師(教授・講師)から生徒(研究機関での助手等も該当)に行われる場合がほとんど。学生時代を過ごした経験がある人なら、一度は耳にしたことがあるであろう「○○しないと単位やんねーぞ」は、アカハラの可能性を孕んでいる。
ただし、単に授業に出ていなくて単位が貰えないのは当たり前。自主休講が原因での単位落としは自業自得だ。
4.マタニティー・ハラスメント(マタハラ)
セクハラから派生したハラスメントである。妊娠していることを理由(あるいはかつて妊娠していた)に行われる嫌がらせで、妊娠を理由に会社を解雇されるなどのケースが代表的。
このマタハラは、そもそも妊娠ができない男性に対しては生物学的には出来ないことになるが、妊娠出来ないことを理由に嫌がらせ(男だから妊婦の気持ちなんてわからないでしょう等)を受けた場合はどうなるのであろうか?
その答えは不明であるものの、このマタニティー・ハラスメントの略語、マタハラはどことなくセクハラチックな香りがすると、近所の中学生が話していたことだけは確かである。
話が少しそれてしまったが、いずれにしても新しい社会の一員を育んでくれる妊婦さんに嫌がらせをするのは、言語道断と言わなければならない。誰もが昔は妊婦さんのお腹の中にいたことがあるのだから。
「悪気はなかった…」と謝るだけでは済まされない。最悪の場合、莫大な賠償金を支払わなければならなくなる場合も。
5アルコール・ハラスメント(アルハラ)
酒の席で行われるハラスメント。お酒が飲めない方に対してお酒を強要するなどもこれに該当する。酒がまわってくるとついつい言動が乱暴になってしまうことがあるが、社会人たるもの節度はわきまえなければならない。リア充の方には、特に気をつけていただきたいハラスメントだ。
いや、彼らは意外と限度を知っているか……
6.エイジ・ハラスメント(エイハラ)
生まれた年代、世代を理由にして行われる嫌がらせ。最近このハラスメントをテーマにドラマも作られた。ゆとり世代だから、バブル世代だから、と一括りにして、悪口をいったり、ひどい場合は採用を見送ったりする。
最初聞いた時は嬰児(えいじ:赤ん坊のこと)に対するハラスメントかと思ったが、良く考えればそれは単なる幼児虐待である。これだけ日本語なのもおかしいし。
ちなみに英字ハラスメント(※)でもない。
※英字ハラスメント:格好つけるだけの理由で英字新聞を読んだり、アルファベットが汚い人に対して行われるハラスメント(嘘)
7.カラオケ・ハラスメント(カラハラ)
この当たりからハラスメント界の雲行きが怪しくなってくるように感じられるが、歌いたくない人間に歌えと強要するのは立派なハラスメントである。
連続で曲を入れてマイクを離さない行為も、これに当たるのかは議論の余地がありそうだが、嫌がらせの定義としては十分に基準を満たしていると言えるだろう。いよいよジャイアン、ピンチである。
8.ブラッドタイプ・ハラスメント(ブラハラ)
こちらも略語は男子中学生が喜びそうな名称だ。日本人特有の血液型に対するイメージからくるハラスメント。科学的根拠が何もないところから行われるこのハラスメントは、意外と根が深い。いずれの血液型であってもその対象になりうる。
一般的にA型は生真面目、B型はマイペース、O型はおおらか、AB型は二面性があるといったところか。
AB型は完全にアルファベットの見た目のイメージじゃん! と言いたくなってしまうが、そんなことを言っていると、「A型はやっぱり理屈っぽい」などと返されることになる。
9.ドクター・ハラスメント(ドクハラ)
医療関係者(医師・看護師など)が、患者に対して行う嫌がらせである。極端に偉そうな感じで診察をしたりすることもこれにあたる。医師や看護師の中には、意地でも患者に敬語を使いたくない層が一定数いるようで、ひょっとしたら彼らの一部が、このような振る舞いをしてしまうのかもしれない。
治して頂けるのはありがたいが、そのたびに心にムカつきを残していくのでは感謝のし甲斐もない。ただし、今よりは昔の方がひどかったような気はするので、最近になってようやく表面化して、名前が付けられたということなのかも。命に係わるハラスメントだけに、関係者の方は是非気をつけて欲しいものだ。
注射の時血管がなかなかでないからって、舌打ちするのもやめて下さい。
10.スメル・ハラスメント(スメハラ)
香水や体臭、口臭、が相手に不快感を与えることによるハラスメント。加害者は「お前臭い」と言う側ではなく、臭いと言われる側の人間である。匂いの感じ方は人それぞれ違うので、非常にデリケートな要素を帯びたハラスメントだ。
基本的に加害者側に悪気がないことが多いのも特徴の一つで、指摘の仕方によっては被害を受けた側が、パワハラ、セクハラの加害者になる可能がある。そのためスメハラにあたるかの判断は慎重に行わなければならない。
「それ、スメハラです!」と言った自分の口から、にんにく臭がしているなんてことも良くありがちだ。
何でもハラスメントになりうる時代?
合わせて10種のハラスメントをご紹介したが、紹介すればするほど、『何でもかんでもハラスメントになる可能性がある』ということが実感される。
極端な話、呼吸をすることでさえハラスメントになる場合があるわけで、「息が体にかかったこれはセクハラだ!」と相手が言えば、それはハラスメントになる可能性があるのだ。それがたとえヨガの呼吸法を習得している達人であってもである。
ここまでくると、ほとんどいちゃもんレベルだが、一方では実際に深刻な被害を出しているハラスメントが存在しているから始末が悪い話である。