2.学生生活をもう少し楽しみたいから(3人)
就職活動のために留年を決意する学生がいる一方で、就職活動とは無関係に単にまだ大学生でいたいからという理由で大学に居残る学生もいます。サークル活動やゼミ、そして大学生特有の自由な時間をもう少し楽しんでいたいから、というのがその理由のようです。
彼らについても上記のタイプと同様に、卒業するのに十分な単位を卒業年度までに取得していたのにも関わらず、わざと単位を落として大学に残る決断をしたということになります。
こういう決断を一度すると、そのままかなりの年数を留年という形で過ごしてしまうケースが多いようで、今回お話を伺った3名は、6回生1名7回生2名という内訳でした。7回生のお一方は卒業要件ギリギリの8回生まで大学に残ると言っていたほどです。
全体的な割合としては少ないですが、どこの大学にも大学生活に居心地の良さを感じるあまり、卒業を拒んでしまう学生は一定数いるようです。彼らの友人にも、似たような考えで留年をしている人が沢山いると言っていました。
3.履修ミスをしてしまったから(4人)
大学の単位の履修方法は意外と複雑です。高校のように間違いがないように先生たちが時間割を組んでくれたりはしません。間違った履修の仕方をしていても全ては自己責任です。
一般に日本の大学では新しい年度が始まる4月中に、学生が自分で作成した時間割を履修届として、教務課に提出します(ネット上で提出する場合もあります)。そこで、間違っているかどうかのチェックはほとんどしてくれません。つまり、そこで間違ってしまうと、もう年度が始まったばかりの4月の段階で留年することが確定してしまうケースがあるのです。
とある大学の教務課で勤務する職員に聞いたところ、ありがちなのは必修若しくは選択必修科目(注)の取り忘れなのだそうで、いくら説明会で注意を促しても、間違えた履修の仕方をしてしまう学生がいるとのことでした。
ただの不注意といえば、それまでですが、気が付いた頃にはもう遅いというのはちょっと怖いお話です。履修を間違えただけで留年してしまった学生達には少し同情してしまいます。
ただ、これから社会に出る学生達に正しく書類をつくることの大切さを教える意味では、この制度は間違ったことをしているわけではないのかもしれません。
【注:】
必修科目:その学部を卒業するために必ず取らなければならない科目
選択必修科目:定められたいくつかの科目の中から自分で選択できる必修科目
純粋に単位が足りないから(15人)
予想通りと言いますか、やはり一番人数が多かったのはこの理由でした。たぶん、もう少し調査対象の人数を増やしたら7割ぐらいは行くんじゃないかと思われます。他の3つのケースに該当する学生の中でも、実は本当の理由はこれ、と言う人がいたのかもしれません。
一生懸命講義に参加したけれど、難しくて単位が取れなかったという人はごく少数で、「何となく怠けてしまった」「アルバイトやサークル活動にハマってしまった」との回答が大多数を占めました。
特に文系大学の大学生活には魔物が棲みついているようで、学生の本分を忘れさせる何かがあるとしか思えないほど、単位取得に対する意欲が低い人が多かったです。
話を聞くと大学一年生二年生のうちに、自主休講等で単位を落としまくるようだと黄色信号が灯るそうで、ひどい人になると、3年生にもならない内に留年が確定してしまう人もいるのだとか。
ご紹介した4つのケースの内で一番、自堕落なケースではありますが、もっとも大学生が陥りやすいのはこのケースのようです。
こうなってしまわないためのアドバイスを回答者の方の一人から頂くことができたので、最後にご紹介したいと思います。
卒業って大事です。
取れる単位は取る気になれる内にが鉄則
[国立大学6回生:25歳男性]
大学に行っていると、学内にいてもメンドクサイからってだけで、自主休講をしたくなる時期が必ず来ます。休講してやることと言えば、ただ学食とかでだべっていたり、家でぼんやりしているだけなんですけどね。
出席を取らない授業ならいいんですが、いつの間にか出席を取る授業でやるようになって、代返を友達に頼むことさえ、おっくうになってきます。
早い段階からこうなると留年街道まっしぐらです。
大学自体にも行かなくなって、アルバイトやテレビゲームに熱中するようになります。夏休みの宿題をギリギリまでやらなかったようなタイプは、気を付けた方がいいです。
とにかく一年生の時の過ごし方が大事になります。一年の時に可能な限り単位を取りまくれば、講義に出る癖もつくし、心に余裕が出来ます。一年の時以上の単位を2~4年生の時に取得するのは凄く苦しいです。単位を取るために努力する癖がついていませんから。
単位が足りないとまだ焦れる余裕があるうちはいいですが、あまりにも遠い目標になってくると、あきらめる心の方が勝ってきます。そうなると私みたいになります。もういいやと思ってしまう状況になる前に、取れる単位はフレッシュな気持ちでいる間に取っておいた方がいいでしょう。
大学生活は『人生の夏休み』と言われるぐらい勉強以外の誘惑が多いところです。そして年を追うごとにその誘惑はどんどん増えていきます。だから、少しでも誘惑が少ない時に単位を取っておいた方が良いのです。