制作された時代が少々古いので仕事場の雰囲気などは現代と違うところもありますが、本質的な部分は全く色褪せていません。金が金を生み出す仕組みとそれを取り巻く人間の野望と葛藤が、ドラマティックかつスピーディーに描かれています。
公開から20年近く経っているのにも関わらず、アメリカでは投資家の主人公、ゴードン・ゲッコーに憧れて、投資銀行に就職する若者がいるぐらい影響力の強い作品です。
2.キャピタリズム~マネーは踊る~
こちらは日本でもおなじみのマイケル・ムーア監督のドキュメンタリー作品です。題材は世界金融危機について。暗い題材をポップな切り口で表現することに定評があるムーア節は今回も健在です。
どうしてこんなことになったのか。アメリカにとって金とは何なのか?金融とは何なのか?なぜ世界のシステムは崩壊したのか?小難しい金融と経済の話を万人に分かるように、ジョークや風刺を交えて説明してくれます。
ドキュメンタリーといっても堅い感じは全然ありません。コメディを見ているような感覚で、金融ビジネスの闇の部分について知ることができるような仕上がりになっています。
3.ハゲタカ
NHKが放送していた同名のドラマの映画版です。正直言うとドラマの方がオススメですが、日本のビジネス映画のくくりでは群を抜いて面白い作品なので取り上げることにしました。ドラマ見ていなくても問題なく楽しめます。
かつて、ここまで格好いいビジネスマン達が日本にいただろうか?というような作品です。主たる題材は企業買収についてになります。企業と金。金と人間。企業買収を巡る攻防戦が楽しめるのはもちろんのこと、それぞれの登場人物に、資本主義社会で生きるための哲学を感じることが出来ます。
主人公の鷲津政彦を演じる大森南朋の、男も惚れそうなぐらいの格好良さにも要注目です。イケメン枠ではない役者さんが、こんなにもセクシーに感じられる作品は日本映画では他に見当たりません。企業買収の話はとっつきにくそうだと思う人でも、彼のインテリジェンスセクシーさえあれば、十分最後まで作品を楽しめると思います。
4.カンパニー・メン
ビジネスそのものが話の中心に置かれている、ここまで紹介してきた3作品とは違い、ビジネスの現場で働く、人間の内面に焦点を置いているのがこの作品です。物語は主人公(演:ベン・アフレック)が会社をクビになることから始まります。
会社をクビになった人間は何を想い、どう行動するのか?その時家族は?クビにした企業は?
ビジネス映画の中では珍しく、ゆったりとしたペースで話が進んでいきます。前の3作品がビジネス映画のアクションのジャンルなら、こちらは純粋なヒューマンドラマのジャンルになります。普通のサラリーマンであれば、この映画の主人公が一番、自分を投影させやすいかもしれません。
クビから始まる作品なので派手な成功や演出はないですが、企業で働くことの意味や価値を考える上では打ってつけの作品です。ハラハラドキドキ系のビジネス映画で興奮した後のクールダウンとしてもお勧めできます。
5.バトル・オブ・シリコンバレー
アップルのスティーブ・ジョブズ(演:ノア・ワイリー)とマイクロソフトのビル・ゲイツ(演:アンソニー・マイケル・ホール)のシリコンバレーでの争いを描いた作品です。我々が現在使っているパソコン、OSの近代の歴史が学べるだけでなく、業界に詳しくない人であれば、あっと驚いてしまうような事実を教えてもくれます。
数年前にアシュトン・カッチャー主演で『スティーブ・ジョブズ』、そして最近マイケル・ファスベンダー主演の同名の映画『スティーブ・ジョブズ』が日本でも公開になりましたが、アップル対マイクロソフトの対決を楽しみたいのであれば、断然、この『バトルオブシリコンバレー』がお勧めです。
日本では少しマイナーな映画なので、レンタルビデオ店で取り扱っているところが少ないかもしれませんが、苦労して探し出す価値は絶対にあります。事実を元にしていますので結果は分かっているはずなのですが、メチャクチャドキドキ出来る作品です。愛おしくなるほど性格の悪いジョブズと、何考えてるか分からないゲイツの熱い闘いが、この映画には詰まっています。
6.インターンシップ
少々ジャンル違いなところがあるので、この映画は紹介するかどうか迷いましたが、半分番外編として説明させて頂きます。
基本ジャンルはコメディで、会社が倒産して職を失った二人の優秀な営業マン(演:ヴィンス・ヴォーン、オーウェン・ウィルソン)が、再就職のためにGoogleのインターンシップに参加するという設定です。
Googleの社内の雰囲気や企業としての考え方などが、インターンシップ中の二人の行動を通して語られていきます。
しかしながら、コメディ色がやや強く、ビジネスの要素はオマケ的に扱われている部分がありますので、そこの部分を理解した上で視聴した方が良いかもしれません。
ただ、面白いことは一応面白いです。話の筋はコメディらしくありきたりな流れですが、その分、Googleの企業見学をしている気分を気軽に味わうことが出来ます。